
墓石の不法投棄とは?
近年、全国で墓石が山林や空き地などに不法に投棄される事件が後を絶ちません。かつては先祖を敬う象徴でもあった墓石が、処分の対象となり、しかも違法に放置される現実──これは環境問題だけでなく、倫理やモラルの問題でもあります。
墓石は重量もあり処理が難しいため、放置されると撤去も簡単ではありません。そしてこの問題は、私たちの身近な地域でも起きています。
南あわじ市で発覚した衝撃の実例
兵庫県南あわじ市阿那賀地区の山林では、2000年代初頭から墓石の不法投棄が続けられ、その総量は1,500トンを超えると報じられました。江戸時代後期のものも含まれており、「墓石の墓場」とも呼ばれるほどの状態です。
地元では長年問題視されており、近年になってようやく、観光インフラ整備と連携する形で現場の**再利用(駐車場整備案)**が検討されるようになりました。
このケースでは、明確な投棄者の特定や法的責任の追及が難しく、地域や行政に大きな負担を残しています。
なぜ墓石が不法投棄されるのか?
・墓じまいの急増
少子高齢化、都市部への人口集中により、地方の墓を片付ける「墓じまい」が急増しています。その際、墓石の撤去・処分には数十万円規模の費用が発生します。
・不適切な業者の存在
中には「格安で処分します」と宣伝し、墓石を引き取った後、処理費用を節約するために不法投棄する悪質な業者も存在します。依頼者が知らぬ間に違法行為に加担してしまうことも。
不法投棄の法的リスクと罰則
墓石は一般的に「産業廃棄物」とみなされます。これを正当な手続きを経ずに捨てた場合、「廃棄物処理法」違反となり、以下のような罰則があります。
- 5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人は3億円以下)
- 業務停止命令、行政処分
- 社会的信用の喪失と損害賠償のリスク
また、墓石の不法投棄が近隣住民に発見された場合、行政が肩代わりして撤去することもありますが、その費用は最終的に私たちの税金で賄われます。
石材業者と廃棄物処理法の関係
石材業者は、墓石の設置・撤去だけでなく、それに伴って生じる石材廃棄物の**「排出事業者」としての責任**があります。主なポイントは以下の通りです:
・処分責任
業者が工事で発生させた墓石の廃材は産業廃棄物に該当します。これを適正に処分する責任が、施工した石材業者にあります。
・委託処理時のルール
許可を持った産業廃棄物処理業者に委託しなければなりません。また、**産業廃棄物管理票(マニフェスト)**で廃棄の流れを記録・保管する必要があります。
・違反すれば業者も罰則対象
マニフェスト未発行や無許可業者への依頼、不法投棄が発覚した場合、業者自身が罰則を受けます。
つまり、信頼できる石材業者を選ぶことは、不法投棄防止の第一歩なのです。
(このページには、産業廃棄物の適正な処理やリサイクルに関するガイドラインが掲載されています。特に、石材業者や墓石の撤去・処分に関わる事業者にとって、廃棄物処理法に基づく適正な処理方法や手続きについての情報が含まれています)
解決に向けた動きと私たちができること
・行政と地域の取り組み
南あわじ市では、観光開発と合わせて不法投棄地の整備が進められつつあります。また、監視体制や通報システムの整備も重要です。
・石材業界の自主的対策
石材組合や業界団体が適正処分マニュアルの配布や、信頼できる業者リストの公表などを行っています。
・消費者としての心がけ
- 墓じまいを依頼する際は、見積書に処分費用と処理方法が明記されているか確認する
- あまりにも安すぎる処分費用を提示する業者には注意
- 不審な投棄現場を見かけたら、市町村や警察に通報する
まとめ
墓石の不法投棄は、単なるゴミ問題ではありません。私たちの先祖にまつわるものをどう扱うかという、文化的・倫理的な問題でもあります。
そして、南あわじ市のような実例から分かるように、その影響は数十年にも渡って地域を苦しめる可能性があります。
私たち一人ひとりが「安さ」だけでなく、「責任」や「尊厳」を大切にした選択をすることで、こうした問題の再発は防げるはずです。
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