
はじめに
仕事帰りに立ち寄るコンビニ。夜中に急にお腹が空いたときも、いつでも温かい弁当や新しいスイーツが並んでいる——。そんな「当たり前の便利さ」を支えているのがコンビニですが、その裏では膨大な量の食品が捨てられている現実があります。
「コンビニで廃棄される食品ってどのくらいあるの?」
「もったいないけど仕方がないの?」
今回は、あまり語られないコンビニの廃棄の実態について掘り下げていきます。
コンビニの廃棄の実態
日本全国にあるコンビニは5万店舗以上。
そのほとんどが毎日、売れ残りや消費期限切れの商品を処分しています。
とくに多いのは「おにぎり」「弁当」「惣菜」「パン」などの生鮮に近い食品。
ある推計では、1店舗あたり1日に平均30〜100個以上が廃棄されているとされます。
単純計算すると、全国で1日数百万食分が捨てられていることになります。
なぜこんなに廃棄が出るのか?
売り切れを避けるため
コンビニは「いつでも商品が揃っている」という安心感が命。お客さんが来たときに売り切れだと不満につながるため、どうしても多めに仕入れる傾向があります。
短すぎる消費期限
弁当は製造から12時間〜24時間、おにぎりは半日程度で消費期限切れ。新鮮さを維持するためには仕方がないのですが、その分ロスが出やすくなります。
需要の読み違い
天気、イベント、季節などによって客数は大きく変動します。雨の日は来客が減り、花火大会や大型連休には逆に需要が爆発する。その予測を外すと、大量廃棄が生まれます。
廃棄がもたらす社会的・環境的影響
- 食品ロス
日本の食品ロスは年間約523万トン(農林水産省データ)。その中にはコンビニ由来の廃棄も大きく含まれます。 - 経済的損失
廃棄コストは加盟店オーナーの負担になるケースが多く、経営を圧迫。利益が薄い中での痛手となります。 - 環境負荷
廃棄食品は焼却処分されることが多く、CO₂排出につながります。食べられるはずだったものを燃やす行為は、環境面でも大きな損失です。
現場の声〜アルバイトや店長の本音〜
実際にコンビニで働いた人の中には、こんな声もあります。
- 「夜勤で廃棄作業をするとゴミ袋がパンパンになる。まだ食べられるのに…と毎回思う」
- 「オーナーとしては仕入れなければ売り上げが立たない。でも廃棄が多いと赤字。板挟みだ」
- 「昔はアルバイトが廃棄を持ち帰れる店舗もあったけど、今は食品衛生上NGになっている」
便利さの裏で、現場の人たちも悩みを抱えているのです。
コンビニ業界の取り組み
業界全体でも「廃棄削減」は大きなテーマとなっています。
- 値引き販売(セールや割引シール)
→ 消費期限が迫った商品を安く販売する取り組み。最近は大手チェーンでも導入が進んでいます。 - AIによる需要予測
→ 天候や地域の特性を学習し、仕入れを最適化。無駄を減らす試みが広がっています。 - フードバンクへの寄付
→ 消費期限内の食品を地域の福祉団体などに提供するケースも増加。 - リサイクル活用
→ 廃棄食品を飼料や肥料に変える「資源化」の仕組みも整備されつつあります。
消費者である私たちにできること
- 買う前に「食べ切れる量か」を考える
- あえて夜に値引き商品を選び、廃棄削減に協力する
- フードロスに関心を持ち、シェアや情報発信する
「一人の行動なんて…」と思いがちですが、毎日の選択の積み重ねが大きな違いを生みます。
コンビニ廃棄物を回収する業者としての視点
私たち廃棄物回収業者は、コンビニから出る廃棄物を実際に引き取って処理する立場にあります。
現場で感じるのは、次のような点です。
量の多さに驚かされる
コンビニ1店舗だけでも、毎日かなりの量の廃棄物が出ます。弁当やおにぎりなどの食品だけでなく、容器、割り箸、包装フィルム、チラシなど、多種多様。これらが毎晩まとめて回収されるのです。
廃棄物の分別が重要
廃棄物は「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類されます。
- 食品残渣(たべものの廃棄) → 一般廃棄物として処理
- プラスチック容器や包装 → リサイクル対象
- 油や特殊な廃棄物 → 専門の処理ルート
分別が徹底されていないと再資源化が難しくなり、結果的に処分コストや環境負荷が増えてしまいます。
処理コストと経営の板挟み
廃棄食品を処分するには当然コストがかかります。回収・運搬・焼却・リサイクル、そのすべてに費用が発生します。
加盟店オーナーの方から「廃棄量を減らさないと経営が厳しい」といった相談を受けることも少なくありません。
再資源化の可能性
最近では、回収した食品廃棄物を家畜の飼料や肥料に再利用する取り組みが進んでいます。
また、一部ではバイオガス発電の燃料として活用する動きもあり、廃棄物が「エネルギー資源」に変わる事例も増えてきました。
回収業者としても「ただ燃やして捨てるのではなく、資源として活かす」ことに力を入れています。
まとめ
コンビニ廃棄は、食品ロスの象徴とも言える社会課題です。
しかしそれは「捨てられて終わり」ではなく、回収業者の手を経て、リサイクルや再資源化の道を模索する時代に入っています。
消費者は買い方を意識し、コンビニ業界は仕組みを改善し、そして回収業者は「循環型社会の担い手」として責任を果たしていく。この三者が協力することで、コンビニの廃棄問題は少しずつ解決に近づいていくのだと思います。
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